
台風の季節になると、雨台風とか風台風といった言葉を耳にします。
雨台風と風台風の違いや、過去の主な台風についてご紹介します。
雨台風と風台風の違いってなんですか?
台風の通過後に風より雨による被害が大きければ雨台風、雨より風による被害が大きければ風台風といっていますが、厳密に定義が決まっているわけではなく便宜的なものです。
また、風や雨の強さが必ずしも被害の規模と一致するわけではないため、そういった意味でもその区別は難しいと言えるでしょう。
一般的に梅雨の時期にやってくる台風や秋雨前線の活動が活発化している秋季の台風には雨台風が多いと言われています。
しかし実際のところは台風が通り過ぎるまでどちらの被害が大きいかもわからず、被害は地域によっても異なるため、風台風といわれているからといっても大雨に警戒しなくていいわけではありませんし、その逆も同じことです。
また当然のことですが、台風とは平均最大風速17メートル/s以上の熱帯低気圧の事ですから、雨台風と言っても風に対する十分な警戒と対策は必要でしょう。
雨台風について
過去にあった雨台風について紹介します。
1947年9月に関東、東北地方に上陸したカスリーン台風(カスリン台風、キャサリン台風)は台風の勢力のわりに降水量が多い雨台風の典型例として記録が残っています。
この台風は、台風そのものは本州近辺に近づいた時はすでにその勢力を弱めていたものの、日本列島付近に停滞していた前線に台風からの南風により暖かい空気が供給され、前線が活発化。その結果起こった大雨は利根川と荒川の堤防を決壊させ、東京都と埼玉県に未曽有の大洪水を引き起こしました。
この洪水による死者は1077名、行方不明者853名、負傷者1547名。罹災者は40万人を超え、戦後最大級の自然災害とされています。
また1958年9月に東海、関東地方に上陸した狩野川台風はその名の通り伊豆半島の狩野川を氾濫させ、伊豆地方で1000人を超える死者、神奈川や東京の各所でがけ崩れや浸水を引き起こしました。
記憶に新しいものとしては、2004年10月の台風23号と2011年9月の台風12号が雨台風として記録が残っています。
風台風について
続いて風台風について紹介します。
1954年9月末に襲来した洞爺丸台風が風台風として有名です。この台風は豪雨による被害をほとんど発生させなかった一方、強風による被害を各地にもたらしました。
この台風は九州、四国地方に上陸後、一度日本海に抜けさらに発達、勢力を維持しながら北海道に再上陸しました。
函館港沖では青函連絡船「洞爺湖丸」が遭難、1139名の犠牲者を出し、その他にも4隻の船が沈没しました。
この事故は日本史上最悪の海難事故、とも呼ばれており、この台風による被害が青函連絡トンネルの建築の大きなきっかけとなった、とも言われています。
またこの台風の影響で北海道岩内町では、火鉢の飛び火が原因で起こった大火事(岩内大火)で約3000戸が焼失。支笏湖周辺ではすべての山の大木が風によってなぎ倒されました。
その他に記憶に新しい風台風として1991年に発生した台風19号があります。
この台風による風の影響で収穫前の青森県のリンゴがほぼ全滅したことにより、別名「りんご台風」とも呼ばれています。
まとめ
暑い夏もそろそろ終盤、本格的な台風シーズンになってきました。特に今年は暑かったこともあり、台風が大量発生しています。
しばしばニュースで「風台風」「雨台風」というワードを聞くこともあると思いますが、いずれにせよ各地に甚大な被害をもたらすことには違いありません。
台風に対する備えをしっかりとして、被害を最小限にとどめるように意識しましょう。